発行体リスクと流動性リスクに注意

発行体リスクと流動性リスクに注意

債券は金利の高いときに投資したほうがよいというのは事実です。では、トルコリラ建てや南アフリカランド建て、あるいはブラジルレアル建ての債券はどうでしょうか。いずれも10%前後という、非常に高い利率を提示しています。こうした高金利通貨国の債券に投資すれば、期待どおりに高いリターンを得ることができるのでしょうか。

 

確かに、この手の高金利通貨建ての債券に投資すれば、償還まで高い利子収入を得ることができます。それが魅力で、多くの個人が高金利通貨建ての債券に投資しているのだと思いますが、この手の債券は、さまざまなリスクがあるということに、注意する必要があります。

 

まず発行体の信用リスクです。発行体とは、債券を発行していると『』ろのこと。国債であれば国が発行体ですし、社債であれば企業が発行体になるわけですが、債券は、こうした発行体が破綻しなければ、元利金の返済が滞りなく行なわれます。

 

しかし、償還前に発行体が財政難に陥ると、債券の元利金返済が滞るリスクが浮上してきます。これが信用リスクです。発行体の信用リスクが高いと、金利を高めに設定しなければ資金調達が円滑に進まなくなるため、相対的に利率が高くなるのです。基本的に、発行体の格付けがBB(ダブルB)以下の債券は、信用リスクが高いと考えたほうがよいでしょう。

 

次に流動性リスクです。高金利通貨建ての債券は、債券そのもののマーケットが小さいだけでなく、外国為替市場においても、この手の高金利通貨は、ほとんど取引されていないという事実を、しっかり理解しておきましょう。米国国債のように、非常に大きなマーケットであれば、好きなときに売ることができますが、高金利通貨建ての債券は、そう簡単に売れません。それでも現金が必要な場合は、販売した証券会社が買い取ってくれますが、かなり安い価格で買い叩かれてしまいます。

 

そのうえ、高金利通貨は値動きが荒く、突然、暴落してしまうこともあります。債券とはいえ、償還前に売却する際のリスクは、かなり高いと考えるべきです。そして、表面上は高金利に見える高金利通貨建て債券ですが、コストも含めてトータルの収益率を計算したとき、本当に額面どおりの高い利子が得られるのかどうかという点にも注意して下さい。